機械業界は幅広く、自動車、工具機械や産業用ロボット、医療機器など分野は多岐にわたります。以前はハードウェアの設計をベースとした開発が主流だったのですが、技術の進化によってソフトウェアの重要度が増しており、製品・サービスの変化が激しい業界です。
今回は機械業界に焦点を当て、ものづくりで重要な役割を担う機械設計者・組込みソフトウェア開発エンジニアの今後や将来像について解説します。
機械業界とは?
機械業界とは、機械や機械部品の設計・製造・販売・保守を行う業界です。自動車や重機から家電、医療機器、工作機械まで幅広い分野に関わっており、機械メーカーによって得意とする事業が異なります。
内閣府の機械受注統計調査によると、2025年3月の「民間設備投資*」は前月比13.0%増となっており、機械受注は持ち直しの傾向にあるとしています。これは、DX化やEV化、グローバル市場の拡大に向けて、各業界からの機械メーカーへの受注が増加しているからです。
機械業界の代表的な職種には、設計開発、生産管理、品質管理、営業などがあります。顧客のヒアリングから構想設計、基本設計、詳細設計、図面作成、試作、量産と長い工程があり、それぞれの段階で専門分野に特化した知識・技術が必要です。
*民間企業が事業拡大や効率化のために、機械やソフトウェアなどの設備に対して行う投資のこと。
機械設計・組込みソフトウェア開発の仕事内容と求められるスキル
機械設計と組込みソフトウェア開発は、どちらも製造に欠かせない専門職種ですが、役割と必要な技術・知識が大きく異なります。最近は機能の複雑化や生産性向上のため、設計・開発を外注する企業も増えており、メーカー以外で活躍できる可能性が広がっています。
機械設計者
機械設計者は、機械製品の設計・開発を行う仕事です。要件定義や詳細設計を行う上流工程に携わります。機械工学や材料力学、流体力学、熱力学など幅広い知識が必要です。
現代の機械設計者には、3DCADが必須ツールとなっています。3DCADは設計図を三次元の立体モデルに起こすソフトで、2Dに比べて視覚的にわかりやすい設計ができるのが特徴です。また、従来は難しかった干渉チェックや重量確認が可能で、生産性向上や安全性確保にも貢献しています。
近年は顧客のニーズが多様化しており、細かい要望に柔軟に対応できる機械設計者が求められています。今後は技術力をベースに、生産性、リスク、環境などあらゆる方面に配慮できる設計者が活躍するでしょう。
組込みソフトウェア開発エンジニア
組込み開発とは、機械の頭脳・制御部分を担うソフトウェアを開発することです。機械設計者が作った機械の中に、ソフトウェアを実装します。組込みソフトウェア開発エンジニアは上流工程・下流工程の両方に携わりますが、エンジニアとしてレベルアップするには、より難易度の高い上流工程に対応できる知見と技術、製造フローの理解が必要です。
技術革新の流れを受けて、組込みソフトウェア開発の現場でもAIやIoTなどのテクノロジーが用いられています。IoTを活用するために必要なセンサーを埋め込むのは、組込みソフトウェア開発エンジニアの仕事です。センサーは光、音波、加速度、画像判別などさまざまな用途があり、上流工程では「どんなセンサーをどのように反映させるのか」を仕様化する必要があります。
IoT化によってサイバー攻撃の対象にもなりえるため、セキュリティ分野の知識も必要です。AIを製品内部に搭載したエッジAIも浸透し始めており、幅広い技術をカバーしている組み込み系のエンジニアは、キャリアの選択肢が広がります。
まとめ|BPOサービスで上流工程に関われる技術者・設計者へ
それぞれの業界のDX推進や製品の品質向上を支えるため、機械設計・組込み開発の人材ニーズは高まっています。要求は高精度・高機能化しており、3DCADやAI・IoTなどのデジタル技術を用いて信頼性の高い設計・開発ができる人材が求められています。
プログラミング言語やアセンブリ言語、コードの最適化、デバッグ、ハードウェア、センサーなどの技術を押さえたうえで、セキュリティ、AI、IoT、テストなどの知識とノウハウまで習得できれば、上流工程から関われるエンジニアやプロジェクトマネージャーなどのキャリアが見えてくるでしょう。
トランスコスモスのエンジニアリングトランスフォーメーションサービス本部では、機械設計と組込み開発のBPOサービスを展開しています。車体やランプ、各種ECUや産業用ロボットなど、多様な製品に対応しており、上流工程から下流工程までを包括的にサポートできるのが強みです。
トランスコスモスのBPOサービスは、開発期間の短縮化・効率化を図れるモデルベース開発(MBD)に対応しており、プロジェクトを通じて個々の業界の知見と最新技術を学ぶことができます。ミドル/シニアのエンジニアとして経験を積んだ後、エキスパートやプロジェクトリーダー、マネージャーといったキャリアパスがあります。
「上流工程で活躍できる設計者・技術者になりたい」「いずれはプロジェクトマネージャーやコンサルタントとして企業に貢献したい」という方は、BPOサービスの採用サイトでサービスや業務についてご確認ください。