人手不足や生産性向上などの課題を抱える建設・建築・土木業界では、IT・デジタル技術の活用によるDXが急務となっています。これらの業界には独自の業務プロセスがあるので、DXを成功させるためには、ITと業界全般の両方の知見が必要です。
今回は、いわゆる「建設DX」で求められる技術と、活躍する人材を紹介します。建設・建築・土木業界の将来性や、改革の方向性に興味がある方は、ぜひご一読ください。
建設DXで求められる技術
建設業界の人材不足や環境問題、コスト削減を実現する有効な手段として、DXが注目を集めています。ここでは、今後の建設DXで注目度の高い技術について紹介します。
AIやクラウドの活用
AIとクラウドは、建設DXにおける主要テクノロジーです。AIの活用によって、現場のリスクの検知や具体的な進捗予測が可能となり、最適な施工計画を組むことができます。
クラウドは、膨大なデータを効率よく蓄積し、管理・共有するために必要となります。設計図面や現場写真、進捗、トラブルの有無などあらゆる情報の一元管理が可能になれば、工場・現場・顧客間の情報共有をリアルタイムで行うことができます。多拠点・多職種の連携が必須となる建設・建築・土木業界は、デジタル化のメリットが大きいといえるでしょう。
ドローン技術
建設や土木の現場では、ドローンも普及しています。遠隔または自動操縦が可能なドローンは、高所作業や人の立ち入りが難しい場所でも、高精度のデータ収集や監視を行えるのが最大のメリットです。
ドローンを使い、写真データをもとにして3Dモデルを起こし、地上の形状を計測することも可能です。人が行うよりも現場の作業時間が短縮され、崖などの危険な場所でも安全に作業が行えます。また、工事の進捗もドローンの撮影により可視化できるため、関係者間の認識の齟齬を防ぐことができます。
災害時の点検や復旧の際にも、無人で状況確認ができるドローンが役立ちます。人材不足が課題となっている建設業界では、ドローン活用が人的被害防止・業務最適化を成功させる鍵となるでしょう。
BIM/CIM
BIM/CIMは、建築構造物の構造や形状を3Dモデルに起こし、属性情報を一元管理するシステムです。BIM/CIMによって、設計ミスの防止や、関係者間での視覚的な情報共有が可能となります。設計の初期段階から細部まで検討できるので、手戻りが発生しにくく、工事の生産性向上に貢献します。
加えて見積りの精度が向上し、余分な人件費・材料費をカットできるというメリットもあります。現在はまだ普及途上のBIM/CIMですが、建築DXを推進するうえで必須になっていくでしょう。
建設DXで活躍する人材
多様な工程とタスクがある建設業界では、業界に知見のあるデジタル人材が求められています。ここからは、今後の建設DXで活躍する人材の特徴を3つ紹介します。
技術を用いたワークフローの改善を提案できる
建設DXでは、BIM/CIM、ドローン、AIなどの最新テクノロジーの活用が不可欠であり、これらの技術を活用して業務改革を提案できる人材が求められています。ただ技術に詳しいだけではなく、「どの技術をどこで使用することで、どのような効果が得られるのか」を具体的に示せることが重要です。
これを実行するには、技術に精通していることはもちろん、建設業界の工程や業務フローを熟知する必要があります。企業独自の工程も多いため、それを踏まえて最適化した業務プロセスを創出することが求められます。
生産性向上による短納期化を実現できる
建設DXでは、工期の短縮も重要なテーマです。他業界で週休2日制が定着している一方で、建設業界は人材不足などの要因により、やむを得ず週休1日を受け入れる労働者もいました。生産性向上と工期の短縮は、建設業界で働く人々のワークライフバランスの向上にも貢献できます。
工期を短縮するには、一部分の効率化を進めるのではなく、工事全体のプロセスを見直し、シームレスに作業を連結させる必要があります。どの部分で業務が停滞しているのかを見極め、必要なシステム・デジタル化を提案できる人材が求められています。
予知保全データを活用できる
予知保全とは、機械や設備の稼働状況を監視し、異常や不具合を事前に検知することで、適切なメンテナンスを施しトラブルを未然に防ぐ仕組みです。この予知保全システムに高機能センサーとAIを活用することで、飛躍的に検知の精度が向上し、スピーディーかつ正確な状況把握が可能となります。
たとえばAIの導入によって、機械の寿命を予測できれば、部品の交換頻度を必要最小限に保てます。また、ドローンとAIを組み合わせることにより、ひび割れや腐食などを早期発見することも可能です。
これらの実現には、AIを組み込んだシステムを開発することや、AIのデータを有効に活用できることが求められます。また、持続可能な業務プロセスを最適化するために、現場作業者や管理者に対して予知保全データの活用について指導していくことも大切です。
まとめ|建設DXを推進するトランスコスモスのBPOサービス
建設業界では、BIM/CIMなどの建設に特化したシステムが登場しています。これらのシステムやAI、クラウドの活用によって、工期短縮や安全性向上を実現することが可能です。一方で、データ分析やAI運用スキルを持つ人材の確保が難しく、DXが進まない企業も少なくありません。
トランスコスモスのBPOサービスでは、建築・土木業界のDXを支援するアーバンソリューション本部を設置しています。BIM/CIMの導入やデータ利活用を進め、現場の働き方改革と工期短縮を促進。建設業界に最新テクノロジーを取り入れ、お客様企業の発展と人々の豊かな生活に貢献しています。
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