ビジネス、デザイン、データ、システム、セキュリティ 企業が評価する「DX人材」の5つのタイプとは?

DXを推進する上で重要となるのが、プロジェクトを牽引していくDX人材です。DX人材は、IT関連の幅広い知識と技術的な知見のほか、チームワークや課題発見力、プロジェクト運営スキルなど、さまざまな能力が必要となります。

DX人材については、経済産業省とIPAが人材の確保・育成の指針となるデジタルスキル標準を策定しています。この記事では、デジタルスキル標準で示された5つの人材タイプについて解説します。

「DX人材」とは?

DX人材とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるために、ITやデジタル技術を駆使して業務改革を推進する人材のことです。単に技術に秀でているだけでなく、企業や事業を深く理解し、デジタル技術を駆使して持続的な価値創出を推進できる人材が求められています。

DX人材は複数の分野で存在し、お互いに協働しながら目的達成に向けて動いていきます。そのためDX人材は、協働を成功させるためのコミュニケーション力やチームワークといった人間力も必要です。

企業が評価する「DX人材」の5つのタイプ

経済産業省と情報処理推進機構の「デジタルスキル標準ver.1.2(2024年7月)」から、DX推進スキル標準が示す5つの人材タイプについて解説します。

ビジネスアーキテクト

ビジネスアーキテクトとは、業務変革を通じて実現したいビジョンを設定し、関係者をコーディネートしながら、ビジネスの構造を最適化して目的達成を実現させる人を指します。業務プロセスの進行管理を請け負い、目的の実現に責任を持つことが求められるリーダー的ポジションを担っています。

ビジネスアーキテクトには、3つの役割があります。

  • ビジネスアーキテクト(新規事業開発)

新しい事業、製品・サービスの目的を見出し、多領域の専門人材と協働しつつ、達成に向けたビジネスプロセスを推進します。関係者間をまとめるために、テクノロジーやセキュリティについても一定の知識があることが望ましいとされています。

  • ビジネスアーキテクト(既存事業の高度化)

新規事業開発と同等のスキルを、既存事業や製品・サービスでも発揮します。既存製品・サービスとの整合性担保や、ステークホルダーとの調整といった難しい役割も担います。

  • ビジネスアーキテクト(社内業務の高度化・効率化)

社内業務の課題解決を目的とした業務プロセスの推進を行います。上記2つの役割に比べると難易度は低いものの、変革マネジメントにおける高度な実践力が必要です。

デザイナー

DX推進におけるデザイナーとは、ビジネス視点と顧客・ユーザー視点の両方から、外観を超えた価値創造を提供するデザインを行う人材のことです。製品やサービスの方針や開発プロセスを策定し、コンセプトに基づいた仕組みやデザインを考案します。

デザイナーの役割は、以下の3つです。

  • サービスデザイナー

顧客・ユーザーの課題を特定し、製品・サービスのコンセプトを策定します。ビジネスアーキテクトと協働しながら、継続的な実現に向けた仕組み・デザインを検討します。

  • UX/UIデザイナー

顧客・ユーザー体験を高めるための、使いやすさや美しさを体験できるデザインを設計します。ソフトウェアエンジニアやセキュリティエンジニアと協働しながら、技術・セキュリティ・デザインの融合を検討します。

  • グラフィックデザイナー

各コンテンツのデザイン全般を行い、マーケティングと協力しながらブランドイメージを可視化します。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、データ収集・解析の仕組みを作り、効果的なデータ活用によって業務改革や新規ビジネスの展開を推進する人材です。単なるデータ分析だけでなく、データの収集の方法や使い方から、分析環境の設計・構築・運用まで幅広い業務を担います。

データサイエンティストには、3つの役割があります。

  • データビジネスストラテジスト

事業戦略に基づくデータ戦略を立案し、データ活用領域におけるマネジメントや、現場におけるデータ活用業務の設計や見直しを行います。ほかのDXメンバーとデータサイエンティストをつなぐ役割を担います。

  • データサイエンスプロフェッショナル

データ処理・解析と結果の評価を行い、業務改革の方向性を見出します。現場でのデータ活用の仕組みづくりや、エンドユーザーへの教育・サポートも行います。

  • データエンジニア

データ分析環境の設計・実装・運用を担い、高度な技術力で業務改革を実行するツールを整えます。

ソフトウェアエンジニア

ソフトウェアエンジニアとは、DX推進に向けたシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を行う人材です。業務改革や新ビジネスの創出について、構を形あるものへと変えていく重要な役割を担います。

IT・デジタル関連の高い技術力で、企業の競争力向上に貢献します。顧客やユーザー、他の専門人材のニーズを理解し、高いレベルでシステムやソフトウェアを具現化することが求められます。

ソフトウェアエンジニアには、以下の4つの役割があります

  • フロントエンドエンジニア

インターフェース側の機能開発を担います。デザイン・UIの知識やプロジェクトマネジメントスキル、セキュリティ技術も必要とされる仕事です。

  • バックエンドエンジニア

サーバー側の機能開発を担います。フロントエンドと同様に、プロジェクトマネジメントやセキュリティ関連のスキルも必須となります。

  • クラウドエンジニア

クラウドを活用したソフトウェアの開発・運用環境の最適化を担います。セキュリティ運用・保守・監視のスキルも必要です。

  • フィジカルコンピューティングエンジニア

IoTや通信技術を活用し、現実世界とデジタル世界をつなぐ役割を担います。システムズエンジニアリングやセキュリティ技術のスキルも求められます。

サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティとは、DX推進におけるセキュリティリスクを正しく評価し、安全な運用を実現すること。5つの人材タイプのうち、サイバーセキュリティだけが他のタイプにもスキル習得が推奨されています。

サイバーセキュリティには、2つの役割があります。

  • サイバーセキュリティマネージャー

DXの目的を踏まえ、ビジネス変革やデータ活用から、サイバーセキュリティに関するスキルまでを幅広く理解している人材です。関係者への説明責任を果たすためのプレゼンテーション力・コミュニケーション力も求められます。

  • サイバーセキュリティエンジニア

DX推進で用いる技術の最新動向を継続的に把握し、効果的なセキュリティ対策を実施します。セキュリティ技術、クラウドインフラ活用、SREプロセスにおける高い実践力が求められます。

まとめ|DX人材が育つトランスコスモス

DX人材の確保はあらゆる企業・組織で重要視されている一方で、深刻な人手不足が続いています。DX推進にあたっては、単なる技術力だけでなく、事業戦略やビジネスモデルへの理解や多方面との調整力など、さまざまなスキルが必要です。自社でDX人材を育成するのが難しいという企業の多くは、BPOサービスに注目しているようです。

BPOサービスは、5つの人材タイプに当てはまる技術者・専門人材を揃えており、業界に特化した知見も携えています。IT・デジタル技術を用いたサービスフローの改革や運用体制の構築の実績も豊富で、スピーディーにDXを実現するための最適なパートナーになりえます。

トランスコスモスでは、システムエンジニアやインフラエンジニア、プロジェクトマネージャー、セキュリティのスペシャリストが連携し、お客様企業のDXやデジタル化、業務改善、競争力向上に貢献しています。DXのノウハウがあるトランスコスモスで技術や知識を得て、エキスパートやマネージャーとして活躍したい方は、求人情報をご確認ください。

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