組込みソフトウェア開発エンジニアと機械設計のスペシャリストは、ハイレベルなスキルを求められる職種で、採用ニーズに対して求職者の数が追いついていない状況が続いています。しかし見方を変えれば、AIに代替されにくく、今後も高い将来性が見込める仕事でもあります。
今回は、組込みソフトウェア開発エンジニア・機械設計の仕事が将来性が高いといわれる理由をわかりやすく紹介し、今後活躍する人物像について解説します。
組込み系エンジニア・機械設計の将来性が高い理由
組込みソフトウェア開発エンジニアと機械設計エンジニアは、ここ数年で採用ニーズが伸びている職種です。将来性が高いといわれる理由を4つ解説します。
組み込みソフトウェア、IoT、生成AIの進化
自動車業界や家電業界は、組み込みソフトウェアとIoTの進化によって機能向上を推進してきました。現在、自動車業界はEVとSDV(ソフトウェア定義車)の開発競争が激化しており、スマート家電市場はコロナ禍でも成長を遂げています。それぞれ今後は、生成AIの活用によってさらなる機能向上やコスト削減を実現しようとしています。
今後、ニーズが高まっていくと考えられているのは、生成AIやIoTの技術・知識がある組込み系エンジニアや、機械設計の知見とAIの活用ノウハウがある設計者です。
IoTは、製品・サービスをインターネットに接続し、データをやり取りする技術です。IoTを使用するには、モノの中にセンサーを搭載する必要があります。このため、機械設計エンジニアには、センサーや通信機器を組み込むための筐体設計やアプリ連携を意識したデザインができること、組込み系エンジニアはセンサーの種類や機能を熟知していることが求められます。
組込みソフトウェア分野では、ネットワーク端末機器に直接AIを搭載したエッジAIも普及し始めています。ソフトウェアとAIの両方に詳しいエンジニアになることで、将来的な需要にも対応できるでしょう。
SDV、遠隔医療診断など新たなニーズの拡大
次世代の製品・サービスを開発するために、組込みエンジニア・機械設計の採用ニーズが急速に増加しています。自動車業界は、SDV(ソフトウェア定義車)の登場によってハードウェア主体の設計からソフトウェア重視に急激にシフトしました。大手自動車メーカーは、家電業界や医療機器業界で経験を積んだ技術者を積極的に採用しようとしています。
在宅診療に取り組む医療機関では、非接触・遠隔医療関連のシステム開発や、クラウド連携のニーズが高まっています。組み込みソフトウェアの技術に加えて、衛生面や操作性に配慮した設計や医療機器規格にも詳しいエンジニアが求められています。
機械設計エンジニアも、自動車や医療機器、産業機械などの分野でニーズが高まっており、プロジェクトマネジメントができる人材やエキスパートが不足しているといわれています。
慢性的な若手人材の不足
組込みエンジニア・機械設計エンジニアは、深刻な人材不足が続いている売り手市場です。その理由として、少子高齢化により企業間の獲得競争が激化していること、専門性が高いために人材定着が難しいことなどが挙げられます。
また、ベテランの組込み系エンジニア・機械設計エンジニアは携帯電話や従来型の家電で活躍しており、スマートフォンやスマート家電などがメインとなった今、技術承継が困難であることも課題となっています。若手エンジニアがキャリアアップをめざすなら、最新技術に強く、教育体制が整備されている企業を選ぶのがポイントとなるでしょう。
上流工程に携われる人材ニーズ
ソフトウェアのニーズやカスタマイズ設計の重要度が高まる今、求められているのは上流工程に強い組込み系エンジニアと機械設計エンジニアです。設計が複雑化する中で、機械設計と組込み領域の連携も必須となっており、上流・下流の区切りが曖昧になってきています。
上流工程では、顧客のヒアリングを行い、要求に応じたシステムの設計を行います。細かな調整やシミュレーションの繰り返しなど繊細な工程が多く、多方面との連携が必要です。人材難が解消する見通しが立たないなかで、今後は設計から運用に至るまでのすべての工程のノウハウがある人材が活躍していくでしょう。
まとめ|市場価値を高めるには「どの企業でどのような経験をするか」が大事
組込みエンジニア・機械設計エンジニアは将来性の高い仕事ではあるものの、自身の市場価値を高めるためには、専門性と経験の両方を備えることが重要となります。いずれもエンジニアの育成も課題となっているので、若い技術者をマネジメントできる人材になれれば、大手のメーカーからも評価されるでしょう。
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